先月開催された天下一キーボードわいわい会 Vol.5で配信担当をしましたyuchiです。
1ヶ月ほど経ってしまいましたが、天キーvol.5は過去最高の物量と規模で配信を行っていたのでその裏側を解説したいと思います。
実際の配信アーカイブは現在もご覧いただけます。
天キー配信チーム
天キーvol.5配信チームとして自分、kai4562さん、daihukuさんの3人で配信を行いました。それぞれ機材を持ち寄っていただき、当日オペレーション協力をしていただき無事に事故なく配信を行うことができました。
今回用いた機材は会場で一部お借りしたものを除いてレンタル一切なしのすべて配信チームの私物です。
自分の持ち込んだケーブル類に関しては合計100mを超えていました
天キーの配信を支えていた機材群
— yuchi / ゆーち (@F_YUUCHI) 2023年11月5日
ケーブルは総延長100mを超えていました pic.twitter.com/dUTVOMEfoC
加えて全て手搬入をおこなったので同じビルに入っているテレビ局で使われてそうな箱を転がしながら会場へ入りました。
構成図
まずは今回使用した配信システムの構成図を見ていただいて簡単に解説していきます。
ATEM 2 M/E Constellation HD
今回配信機材のコアにATEM 2 M/E Constellation HDを使用しました。 この機材を買った理由などは別エントリーで詳しく書いたので合わせて読んでいただければ。
今回入力はカメラが3台、登壇者のスライドのPC、セッション間の幕間に出す写真を出すPCで合計5入力ありました。
機器の出力はHDMIですが、スイッチャーの入力はSDIのためすべてコンバーターを挟んでいます。
自由にルーティングが行える出力端子が今回非常に役に立ちました。 構成図で書かれているのは以下のように使っていました。
- OUT1 : スライドPC(IN 3)から来た映像を会場画面に出力
- OUT2: スライドPC(IN 3)から来た映像を登壇者足元に置かれるどのような映像が出ているかの確認モニター(返しモニター)に出力
- OUT3: カメラ映像(IN 1)からきた映像を録画用にHyperdeck Studio 12Gへ出力
- OUT4: 配信に使っている映像(M/E 1)をプレビューモニター兼録画としてSHOGUN 7へ出力
- OUT10: 配信用にスイッチングした映像(M/E 1)をYouTubeへ送るためにWebPresenter HDへ出力
元々自分が使っていたATEM Miniシリーズでこれを行おうとすると入力の前段にHDMIのスプリッターを入れるなどの手段がありますが、配信機材において機材やケーブル接点が増えることが映らないなどの事故リスクがあがることはもちろん、それぞれ出力の切り替えにケーブルの抜き差しや別途スイッチャーが必要など色々大変です。
カメラ
カメラは今回3カメラ体制で行いました。
セッション会場では登壇者の寄りと会場を含めた引きの映像を用意しました。
カメラはkaiさんに用意していただき、それぞれのカメラの上にはkaiさんが開発したタリーランプを載せてATEM Constellationシリーズでうまく動作するかの検証も兼ねて運用してもらいました。
キーボードは諸般の事情により展示していませんが、NeoPixelが光る実質キーボードのタリーランプを実運用しています #天キー pic.twitter.com/WrWMTWgx9t
— かい (@kai4562) 2023年11月4日
もう1カメラはメイン会場のオープニングとエンディングの様子を撮影してもらい、HDMIのトランスミッターで映像を伝送しました。
2スペースにまたがる会場
今回、DMM.comさんの会場を再びお借りして開催されましたが、1回目~3回目まで使っていた会場に加えて新たにもう1スペース使わせていただけることができ、それぞれで登壇者の様子を映す必要が出てきました。
構成図上だと点線から左側がその今回新たに加わった会場です。非常に広い会場で、それぞれのスペースの間は30m以上開いているため無線か有線どちらの映像伝送を用いるか悩みます。
結論から言うと今回は無線での伝送を選択しました。
SDIケーブルを引く方法は30m以上離れていたため、3CのSDIケーブル*1では伝送できない可能性があり、5Cを用意する必要があります。5Cの50mのケーブルを手で持ち込むのは非常に大変なのが容易に想像できるため不採用でした。
今回の使用したHDMIトランスミッター MARS300は5.2GHz帯を用います。WiFiの5GHz帯と似たように直進性能が高く、天キーのイベント会場のような人が多い場所で使用すると大きく減衰されてしまい、映像が来ないことも考えられます。
今回行った対策は会場にあったライトのスタンドを許可を得てお借りし、クランプでレシーバーを挟んで最大限高さを稼ぐ方法でした。
本番中もちょくちょく映像が来ないことが起こり、その度にスタンドの高さを上げて最終的には2.5m以上になっていたと思います。それほど人による減衰は大きかったです。
やってみての感想
この会場規模、機材量、チーム人数での配信は初めてだったので事前に会場入りの時間から撤収まで含んだオペレーションの進行台本を作ることや自宅での通しテクリハなどなど。それでも当日想定通り進まないのが配信です。
前半は配信を行いつつ、トラブル解消のため配信卓周辺であれやこれやとバタバタしていました。
また、連絡はDiscordを使用していましたが、すぐに気づくことができなかったり、リアルタイム性を求められることもありインカムやトランシーバーの導入は必須だなと感じました。
色々細かいミスや想定外のことがありましたが、終わったあとのビールは最高ですね。
まとめ
ハイブリッド配信かつリアル会場が複数ある場合機材やオペレーション、配信事故に繋がりそうなリスクが高く非常に大変です。
今回は大きな事故なく配信を無事に終えつつ、小さいミスに関しては次は起こさないようにするといった今後必ず役に立つ経験となりました。
また、配信チームとして協力してくださったkaiさん、Daihukuさん、配信画面デザインをしていただいたPekasoさん、天キー主催のゆかりさん他当日も様々な方にお手伝いいただきました。ありがとうございます。
天キーVol.6が開催された際は配信卓に座っていると思うので興味ありましたらお気軽にお声がけください。
*1:SDIケーブルには太さの規格があります。数字が低いほど細くしなやかで軽いですが数字が増えれば太く取り回しがしにくくなりますが、伝送距離が伸びます